蔓草雑話

あの話、その話、話題は蔓草のようにのびて。

心地好いつかれ

 朝5時に起床。今朝はつかれがとれていなくて30分多く寝てしまった。

 昨日フライパンや最低限の食器を買ったので、野菜を炒めて、ライ麦パンにはさむ。レンジも炊飯器もないのでご飯が食べられない。そうすると小麦粉を使用した食べ物が増える。そうすると私の体はあんまり調子がよくなくなる。気がする。だから気休めのライ麦パン。蕎麦とか豆腐を主食としようか。

 腕の筋肉痛が和らいできた。作業は腕をよく使う。

 ボロを大きなスコップで取る。お馬は一度のトイレで2、3㎏は出してると思う。あっちのお馬がボロだした。そっちのお馬がボロだした。ひっきりなしにボロ取りは続く。それもそのはず、お馬たちはほぼ一日中ずーっとずーっと、休めることなく干し草を食べているのだ。

 ここの牧場では発酵させた栄養満点の干し草をあげている。この干し草も自分たちで栽培し、乾燥させているらしい。巨大な干し草ロールが広大な畑に転がっている。

 お馬たちはこの干し草を飽きることなく、むしろ大いに好んで食べている。

 一頭ずつお部屋に米俵くらいの大きさの干し草網をかけている。網の中の干し草が少なくなってくると補充してやる。補充のために一度部屋から出さないといけない。そうすると、お馬は前足をガツンガツンと鳴らして怒りを訴えてくる。「ちょっと何すんのさ!干し草返せ!はやく持ってこい!」と、気性の荒いお馬だと歯を剥き出したりして、結構こわい。

 袋から取り出したばかりの新鮮な干し草だと、「やたー!!これ好き大好き!」といつもの干し草よりもテンションが上がる。

 その様子を見た他のお馬は「おい、こっちもあの新しいのよこせえ!あれがいい!あれ食べたいー!!」と訴えてくる。調子のいいお馬だと勝手に隣のお部屋の新しい干し草をムッシャムッシャと食ったりする。目は本気。

 

 水は二時間おきにあげる。だいたいのお馬は大きめのバケツ(6リットルくらい)一杯。お水が好きなお馬は2杯くらいゴブゴブ飲む。

 干し草の補充、お水やり、散らかした干し草の掃除、ボロ取り、鞍乗せ(この鞍というのが丈夫な革製で重い)。。。と、どの作業も重量感がある。初日の勤務が終わると、私の使ったことのない腕の筋肉が悲鳴というか絶叫に近い叫び声をあげた。

 3日目となると、そう辛くなくなってくるから人体はフシギ。

 馬の背中で眠ったことはありますか。私はあります。

 今日、お昼ごはんを食べたあと午後のお客がいなかったので乗馬レッスンを受けていました。乗馬といってもトレッキングなので走らせたり跳ばせたりはさせない。砂利道や林道を気持ちよく歩く、ゆったりとした乗馬です。

 私を乗せてくれたピース5歳はとてもゆっくり歩くお利口さん。それが故、その背中のゆるやかな揺れが心地よくて、ふわっと夢の中に入り込む瞬間が何度もあった。

 馬というのはとても過敏な生き物です。馬に乗る者もデリケートでなければなりません。それでも、それでも、睡魔はやってくる。

 なんとか落馬せずレッスンはおわった。「ピースありがとう」と首元を撫でると「フフフン」とそっぽを向かれてしまった。彼はわかっていたんだろうか。

 牧場の一角に苺がなっている。無農薬の堆肥だけでなっている苺。私はお昼ごはんのデザートにいつも摘んで食べている。水道で洗おうとしたら「洗っちゃあおいしくないよ、水っぽくなる。そのまんま食べるのがおいしいんだよ」と教えてくれた。

 だから私は摘んで、そのまま食べている。苺は実まで鮮やかな赤。果汁も血のように鮮やか。こんなに美味しい苺は食べたことがない。そして、苺がなる姿もなんて可憐なんだろう。