蔓草雑話

あの話、その話、話題は蔓草のようにのびて。

出航前夜

 

 

 明日、日付では今日、北海道に行ってきます。富良野です。

 11月まで馬のお世話をするお仕事をしてきます。

 寒くなったら、雪が降ったらこのお仕事は終わりの合図。

 そしたら今度は南の暖かいところへ向かう予定です。あくまで予定ですが。

 

 と、いうことを親やバイト先(一昨日退職した)の先輩たちに言うと皆口を揃えて

 「へぇー、すごいねぇ。よく一人でそんなところへ行く勇気があるね」と言います。

 私は、4人の子供と夜逃げして夫から逃げた母の方が、二十歳で十歳年上の男について嫁ぎまるで「本家の嫁」のような厳格な家庭に飛び込んだ先輩の方が私よりもはるかに勇気がある行動だと思います。

 人は「勢い」に身が包まれたとき、マリオでいうスター状態のときに起こした勇気ある決断や行動を自分自身では平然と受け入れているものなのかもしれません。端から見れば「すっげぇー・・・自分には無理だな」というようなことも。

 

 他人にはちょっと理解しがたくても自分自身で妙に納得して「あぁ、こういうことなんだな、私の場合は。」って腑に落ちると、とたんに怖くなくなるのです。

 

 だから、私も今は怖くありません。が、まわりがとても心配そうです。

 「大丈夫だよ。ちゃんとやれるよ。」って言うと

 「とは言っても、アンタはぽっとしてるところがあるからねぇ。こっちが不安だよ。」なんて言われます。

 

 すこし前、私がまだ迷いの中にあって、おろおろしてるときは

 「大丈夫だよ。アンタはなんだかんだいつも一人でやってのけてるから。」なんて言っていたくせに。おかしいな。

 

 最初から「大丈夫だよ、あなたなら。」と言ってくれた人もいます。

 ふしぎと、その人たちの言葉は笑顔と共に記憶に残っています。実際そのとき笑顔だったかは定かではないけれど。私がそう望んでいるから、笑顔で言ってくれています。

 

 「大丈夫だよ。」

 

 まじないのように、何度も唱えて。

 私はだんだんスター状態になれた気がします。

 

 丈夫に大までついてるんだから、私はきっと大丈夫でしょう。