楽しかったことなんて、書けるかしら。
*
とても簡潔に楽しかったことを。書けるかしら。
さーさんにマイルドシャンプーで鬣や尻尾をわしわしと洗われるブチ模様のごまふく。はじめての事態にはじめはビビりまくりのごまふくでしたが、次第に心地よくなってきたのか大人しくなりました。
ごまふくの至福顔に男三人とそれを見ていたわたしと楽しげな声に寄ってきた「かーちゃん」もふくふくと笑みがこぼれます。
「よっしゃ、キレイになったべ。流すぞ」
さーさんがブリキのバケツにいっぱいの水を汲んで、そのままバシャ―!!!!っとごまふくにかけました。ごまふくはまた全力でビビり、少し暴れます。取り押さえる男たちは必死です。
さーさんはまたバケツの水をバッシャー!!!!!!とぶちまけます。その度に男たちも容赦なく水を浴びています。そんな事はさーさんには関係ありません。構わずまたぶちまけます。
あまりに豪快な浴びっぷりに私とかーちゃんは大笑いしてしまいました。ここでは人間よりも馬が中心なのです。
さーさんの容赦の無さ、濡れる男たちの潔さ、ごまふくの困り顔、どこまでも青い空。もうなんだか総て楽しくなってきます。ぜんぜん何でもないことなのに、きらきらしてどうしようもなく面白くなってしまう瞬間です。
かーちゃんは豪快に笑う子なのでわたしもつられて腹から大笑いしてしまいます。
わたしたちの笑い声につられて、男三人も大笑いしてしまいました。
あぁ、あの瞬間のさわやかさといったら。。。
楽しかったなぁ。
*
その日の午後、親方の「今日ジンギスカンすんべ」の一言で営業後ジンギスカンバーベキューをすることになりました。
人生初のジンギスカンでした。とてもとてもとても旨しです。
北海道の海鮮もガンガン網で焼きました。その量がほんとうに多くて、食べても食べても尽きなくて、もうこんなの幸せすぎる!と思いました。
さーさんは文句を言いながらも「こういうのは得意なんだよ」と言って菜箸を離しませんでした。わたしは雛鳥のようにただただ皿を突き出しさーさんからの配給を待つという体たらく。
あぁーおいしい!おいしい!おいしい!!と肉も野菜も海鮮もついでにメロンも食べていると「喰いっぷりがいい」と更に配給がハイスピードかつ大量になっていきました。
次第に周囲が気づき始める、「こいつ、喰うッ!!」という空気にめげずに、立ち昇る煙の最前線を陣取ります。
アァ、学生の頃だったら恥ずかしがって少食ぶっただろうに、二十歳超えれば恥も薄れていくんだなァと妙にしみじみしながらラムちゃんを頬張ります。
皆が箸を休めしばしご歓談な雰囲気になってもわたしはまだ煙の最前線でさーさんの配給待ちをしていました。
さーさんはずっとわたしに肉を与えてくれました。や さ し い。
犬のブランがずっとわたしの傍から離れません。うーくんに「犬もわかるんだなぁ、一番喰うやつのこと」と言われ、飼い犬の本能って凄いなぁと思いました。
その日お休みだったリンちゃんが黒タピオカミルクティーを作って来てくれました。これがメイドインTAIWANの味ダヨ!と笑っていました。
おいしいのね。ほんとうにおいしいのです。
アァ、きらめきごはん。
*
今日は休日でした。いつもと同じように五時に起きます。最近では五時ちょっと前にはパッと目が覚めるようになりました。
彼氏に「ぺこちゃん、最初の二週間が勝負だよ。何が何でもの気持ちで生活習慣を整えてね」と言われていましたから、二週間過ぎた今、わたしは「
勝った…!」のです。
今日は食道楽まっしぐらで富良野を観光しようと決めていたので朝食は控えめにしました。
朝食が終るのを図ったように六時半のテレビ体操が始まります。今日はラジオ体操第一と第二のコンボ。全力でやるとすごい身体に効いて来ます。寝ぼけていた呼吸器官に血が廻ります。
わたしの身体は燃費がかなり悪いのでテレビ体操しただけで朝食の半分のエネルギーを消費してしまったような気がします。シリアルを食べたい気持ちをグッと抑えてフックブックローを観ます。続くまいんちゃんの誘惑に負けそうになるのでここでチャンネルを変えます。
いつものように仕事場まで送ってもらい、朝の水やりだけ手伝わせてもらい、うーくんの自転車を借りて遠足スタートです。
自転車借りたはいいのですが、目的地が丘の上なのできつくて押して歩きました。リュックサックにキャップ被ってジーパン履いて、わたしはどこからどう見ても遠足人。北海道を自転車で旅する若者像そのものです。そんなある種の北海道らしさを車をとばしてわたしをグングン抜かす観光客にサービスしつつ目的地のハーブガーデンに到着しました。
ここから遠足が始まるわけですが、もう眠くなってきてしまいました。今日はとにかく沢山歩いたのです。
明日も朝からエンヤコラなので今日はここまでにするとします。
おやすみなさいませ。