東京はだれにやさしいの?
東京駅周辺に、貧乏若者がふらっと腹を満たす店を探すのは至難の業だった。
どんなもんか見てみようと新丸ノ内ビルのレストランフロアをめざしてエスカレーターに乗る。
「よいこのみなさん、エスカレーターではあそばないように・・・」なんていうアナウンスが流れる。場違いな。幼子なんかが来る所じゃないわい、こんなところ。
この先に溜め息つきまくりな高級レストランが建ち並んでいた。
ぐるりとフロアを一周し、すこし元気をなくしてエレベーターで一気に下降した。
駅の周りってどこもファーストフード店があるもんじゃないのかい?
横幅も縦幅も大きいビルディングが並ぶ。どれもこれも空腹の女二人癒しも出来ない鉄屑め!
だんだんやさぐれつつ、東京駅構内に賭ける。
よかったまだ開いてる店がある。あ、値段も手頃。
私たちは北欧カフェらしい店でやっと食事にありついた。
サーモンライスとやらをオーダー。
ノルウェー流焼き鮭定食。味付けはまぁまぁ美味しい。だけどやっぱり、醤油かけてとなりにはお新香とお味噌汁がほしくなる。
食べ続けるうちに、ん?今日はうまくいったなと思った。
食べ進めるバランスが美しいまでにキマッた...!
皿の上で似た形だけどちがうモノたちが無造作に在るッ!
皿の上で枯山水が。
空腹を満たした私は元気が出てきた。
帰りの鈍行列車で暇つぶしに素敵な本でも読みたいと思える程の元気が。
友人に駅構内の書店まで付き合ってもらって、ふらーっと本を眺める。
いくえみ綾の新刊が出ていた。これは迷いもせず、買い。
だけど漫画は電車で読みたくない。
なんか小説読みたいなーと文庫コーナーをふらー。
お、山田詠美の見た事無い本がある。
『学問』
これにしよう。手に取る、そのままレジへ。
ふらっと寄って、すすすっと買った本は大体当たり。
自分の直感をそのままに行動に移したときは気持ちがいい。
電車で読む。
一時間があっという間。
本、たのしい。
極上の暇つぶしだった。